2023年02月27日
【完全攻略】縮毛矯正の薬剤選定を学ぶ
美容師の技術の中で、トップクラスに難しい技術となってくるのが縮毛矯正。
「癖毛で悩むお客様に、気持ちを込めてかけたはずの縮毛矯正が失敗した。。」という経験をした美容師さんも多いと思います。
縮毛矯正を成功させるには、適正な薬剤選定、薬剤塗布方法、ドライコントロール、アイロンワーク、全ての工程が重要になってきます。
今回はその中でも“薬剤選定”に関して徹底解説していきます。
縮毛矯正で薬剤選定を見誤ると、薬剤の反応が弱かったり、逆に強すぎた為に毛髪を破壊してしまう恐れもあります。
また事前の毛髪診断を適正に行えているか、お客様自身の普段のヘアケアについてはどうか、顕在的に見えているものから潜在的な部分までをカウンセリングで詳しく把握し、施術に入る必要があります。
それでは縮毛矯正の薬剤選定について、HAIRCAMP内で行われたセミナーの画像や動画を参考に解説していきます。
1.縮毛矯正のカウンセリング
適正な薬剤選定を行うために、まず重要になってくるのが“カウンセリング”です。
お客様の髪の状態を把握し、現状の悩みを伺います。その悩みに対して、縮毛矯正で解決できるのか確認していきましょう。
また希望スタイルを伺い、どういった順序で施術していくか決めていきます。
カウンセリングの項目
・縮毛矯正をかけるのはいつ以来か
・どのくらいの周期で縮毛矯正をかけているか
・カラーはしているか、最後にしてからどれくらい経つか
・ブリーチやハイライトはしているか
・パーマはしているか
・どの箇所の癖が強いか
・来店時、スタイリング(アイロン)はしているか
・日常的にアイロンは使われるか
・普段のドライヤーの使い方(温度含め)はどうか
・濡れている時と乾いている時の違いはどうか
・ヘアケア剤は何を使っているか
・今の悩みや、今後どうなっていきたいか
これらの事とあわせて、デザインについて話していきます。
あくまでも縮毛矯正は手段。目的であるデザインをプロとして提案していきましょう。
2.毛髪診断を踏まえた薬剤選定のコツ
薬剤技術で最も大事なのが“毛髪診断”です。
前項のカウンセリングにて毛髪状態を把握し、薬剤選定をしていきます。
こちらでは、具体的な薬剤選定のコツを紹介していきます。
毛髪診断はウェット状態で確認し、薬剤を選定する
毛髪は濡れた状態にすることで、本来のダメージレベルを確認することができます。
その方法は毛髪を濡らし、“光に透かし”どのくらいの明るさなのかを見ていきます。
カラーで使う髪色のレベルスケールと照らし合わしていきます。
ここの毛髪診断でわかるのは、適正なpH値の選定です。
4~6レベル→pH9~pH8
8~10レベル→ph8~pH7
11~13レベル→pH7~pH6
15~17レベル→pH6~pH4.5(特にこの先は経験を積んでからの方が良い)
ここに応じたpH薬剤を塗布して20分おけば、余程の状態でない限り
薬剤で毛髪が壊れることはないです。
3.薬剤基礎知識
薬剤選定をしていく時に必要な縮毛矯正の薬剤基礎知識を構築していきましょう。
まずは薬剤のスペックを知る上で基礎の整理から。
薬剤が単純に強弱での判断で選定するのではなく、なぜ強い(弱い)薬剤なのか?そうした定義を頭に入れておく必要があります。その上で判断基準になっていくのが、pH値と還元値とアルカリ度になります。
・pH値→薬剤の反応領域
美容師業界では、pH4~pH6は酸性、pH6.1~pH7.5は中生、pH7.5~pH9.5はアルカリ
と思っておくと一般的です。
・還元値(TG)→結合を切る力
高ければ高いほど癖の結合を切る力が強いです。
でも強すぎると荒れたり、シャキシャキとした質感になるので注意が必要です。
・アルカリ度→アルカリ性に引っ張る力。
アルカリ度=強さではない。それを踏まえた上でなら、
「アルカリ度高い」がちょっと怖いなという考えもあります。
・髪の等電点→pH4.5~pH5.5である状態
基本的に髪が最も安定できる領域です。
これらを踏まえて、還元剤は作られます。
還元剤に関して
縮毛矯正に関係する還元剤の種類は以下の通り。
・チオグリコール酸
・システイン
・亜硫酸ナトリウム
・システアミン
・チオグリセリン
・GMT
・スピエラ
毛髪細胞において、それぞれが作用しやすい箇所も変わってきます。
還元剤のpH値に合わせた反応域(PKA)を理解する
還元剤が最も活躍するpH値を知りましょう。
・チオグリコール酸→pH10.4
・システイン→pH8.4
・亜硫酸ナトリウム→pH9
・システアミン→pH8.3
・チオグリセリン→pH9
・GMT→pH7.8
・スピエラ→pH6.9
どういった薬剤選定でアタックするのか、薬を作用させるためにも必要となる目安になります。
4.薬剤反応とアイロンワークの関係性
縮毛矯正は薬剤反応とアイロンワークは二つ掛け合わさってようやく癖が伸びます。
例えば、100点の仕上がりのうち薬剤反応が70点だとしたら、アイロンで30点分補う必要があります。逆に薬剤反応が40点だとしたら、60点分アイロンでカバーしなければなりません。
この時、アイロンワークを頑張りすぎると、熱やけ等の外的ダメージを加えてしまうケースもあるので注意が必要です。
縮毛矯正を自身が施術を進めていく上で、どこの局面で頑張ればよいか。
そのことも見極めながら施術をする必要があります。
5. まとめ
ここでは、縮毛矯正での薬剤選定に関して深掘りしていきました。
しかし、薬剤選定が正確にできたとしても、必ずしも綺麗に仕上がることはありません。
薬剤選定に始まり、1液の流し、ドライコントロール、アイロンワーク、2液処理、そして処理剤の使用法等、全ての工程が相まって素敵な仕上がりになります。
一朝一夕で叶う技術でないからこそ、プロがやる仕事であり、価値が生まれてきます。引き続き縮毛矯正を極めるために、学びを深めていきましょう。
今回参考にしたセミナーはこちら
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